低水準で推移するゴルフ会員権
日経新聞掲載 2020.04.07
〇会員権価格は大底圏に止まる
〇株価や地価に比べて鈍い回復力
〇2000年末を100とする年末の指数は、株価:172
(直近はコロナの影響で137)、地価86へ水準切り上げ
会員権は16年末以降30~32で底這い
〇ゴルフ場の法的整理の横行が尾を引く
〇会員権の仕組みの抜本的見直しで会員権価値の向上を
バブル崩壊で急落した相場性商品のその後の展開は明暗に分かれています。ゴルフ会員権価格は「暗」で回復力の鈍さが際立っています。2000年を100とする過去20年の指数の推移をみると、株価が11年末の61を底に19年末には172(直近は新型コロナウイルスの影響で137)、地価が13年初の78を底に20年初には86へと水準を戻しているのに対して、会員権価格は16年末以降30~32と底這いの状態にとどまっています。かつて見られた株価との連動性が薄れ“独歩安”の様相を呈しているといっても過言ではありません。
根強いゴルフ人気にもかかわらず、会員権価格が低迷している原因は、2000年の民事再生法の施行を契機として会員制ゴルフ場の半数近くが法的整理を行ない会員の権利が大きく損なわれたことです。さらに、法的整理後の再生会社が新たな会員を市場水準に比べ低額で募集し、結果として会員権相場の下落を誘導し追い打ちをかけました。
低迷する会員権価格の回復には、会員の権利を保護するために会員権の仕組みを抜本的に見直し会員権価値を向上させることが大きな課題といえましょう。