低位安定傾向続くゴルフ場の法的整理
広告掲載・日経新聞朝刊 2024.04.16
● 昨年の法的整理は6件で19年以降一桁台の申請
● 関東圏では2件の申請、伊豆スカイラインCCと
ギャツビイGC(ともに静岡県)
● バブル崩壊後の累計は815事業者・既設997コース
(全体の約47%)、負債総額は約17兆円
● コロナ禍から続くゴルフブームを追い風に経営を
健全化し、法的整理件数の更なる減少へ
会員制ゴルフ場の法的整理の低位安定傾向が続いています。ゴルフ情報誌を刊行する一季出版の調べによると、23年の申請は6件(既設6コース)で負債総額は256億円でした。申請件数は19年以降5年連続して一桁台(3~7件)で推移しています。
ゴルフ場の法的整理の申請は2000年の民事再生法の施行を契機に急増し、02~04年には年間80~90件台(既設110~130コース台)とピークに達しました。以降は漸減傾向で近年は少なくなっていますが、バブル経済崩壊後の累計は申請件数が815件、既設コースは1000に迫る997を数え、負債総額は実に17兆円余りにのぼっています。ゴルフ場数では、国内全体(2023年11月時点の日本ゴルフ場経営者協会調べ・2123コース)の約47%に当たります。
法的整理申請後に多くのゴルフ場は再生していますが、大半は会員の大幅な債権圧縮という会員の犠牲のもとで実現されたのが実情です。こうした状況は、ゴルフ場や会員権への不信感による会員権相場の長期低落を招く負の遺産となりました。
法的整理が減少したとはいえ返還できない多額の預託金を抱えたゴルフ場は多く、経営方針などによっては法的整理が発生する懸念は少なくありません。コロナ禍以降のゴルフブームを追い風に経営の健全化が図られ、法的整理の件数が更に減少へと転じる事を願ってやみません。