会員権相場下落でも先行きに光も
日経新聞掲載 2020.01.07
●昨年の平均相場は年初比▲3.2%と3年ぶりのマイナス
10月以降は消費税増税分を上回る3.0%の値下がり
●景気先行き不透明感、消費税増税など経済環境変化が響く
●法人需要伸び悩み、個人の買い控え・不要コース処分目立つ
●一方、盛り上がるプロ競技、東京五輪でゴルフの注目度アップ
●底値買い膨らみ経済情勢次第で相場反転の可能性も
●入会条件の緩和や入会諸費用の軽減が市場活性化の鍵
昨年の会員権市場は、景気の先行き不透明感や消費税増税といった経済環境の変化が色濃く反映されました。景気先行き不透明感は相場のけん引役である法人需要の伸び悩み、そして消費税増税は個人の買い控えや年会費の負担を避ける不要コースの処分増を招きました。この結果、関東圏の平均相場は年初比▲3.2%と16年以来3年ぶりの値下がりを余儀なくされました。10月以降は3カ月で▲3.0%と消費税増税分を上回る大きな値下がりとなっています。
2020年は、米国とイランの対立が急速に激化したり、英国のEU離脱が現実のものとなりつつあるなど、波乱の幕開けとなりました。とは言っても、株価の上昇局面が腰折れする可能性は低いとの見方は多いようです。
こうした厳しい状況下ですが、ゴルフ界に明るい光が灯りました。海外メジャーの制覇で一躍世界の寵児となった渋野日向子や、日本初開催の米男子ツアーを制して最多勝利に並んだタイガー・ウッズの活躍です。さらに今年はゴルフ競技が行われる東京五輪でゴルフの注目度が一段と高まるものと予想されます。会員権市場では底値を拾う買いが膨らみ始めており、今後の経済情勢次第で相場が反転に向かう可能性も高まっています。
ゴルフの注目度が高まり、根強い会員志向がみられる今こそ、入会条件の緩和や入会諸費用の軽減など会員権を購入しやすい施策が市場活性化の鍵といえます。昨年神奈川県の名門・相模原が入会条件の緩和を実施したことが好感されました。また名変料の引き下げにより入会が膨らみ相場の底上げにつながったコースも見られ、入会促進策の必要性を物語っているのではないでしょうか。