低水準に留まる会員権相場
日経掲載 2019.04.16
〇株価・地価は上昇目立つが会員権は回復遅れる
〇2000年末を100と進指数では
株価154(底:11年末61)
地価84(底:13年初77)
会員権32(底:16年末30)とやや上向くも低水準
〇ゴルフ場法的整理による会員権利の減少が低迷要因
〇会員権の回復には会員契約の抜本的な見直しが急務
バブル経済崩壊後に急落した相場性商品のうち株価と地価は反転、資産デフレ脱却も喧伝されています。その一方で、ゴルフ会員権相場は回復しているとはいえ依然として低水準で、割安感が際立っています。
堅調な景気の歩みなどを背景に、2000年末を100とする指数は株価が154と2011年末の61を底に大きく上昇し、地価も2013年初の77を底に2019年初には84へと緩やかながらも6年連続で水準を戻しています。これに対して会員権相場はアベノミクス効果で株価が上昇する過程から株価との連動性が薄れ、2016年末の30を底に上向いてはいるものの2019年3月末時点では32に留まっています。
根強いメンバー志向がみられるにもかかわらず会員権相場が低水準に甘んじているのは、相次ぐゴルフ場の法的整理の際に会員の権利が十分に保護されず、会員権の信頼感が失われたままになっているためです。バブル崩壊(1991年)から昨年までのゴルフ場の法的整理は全体の約半数の971コースを数え会員の被った損害も多額にのぼっていますが、会員保護対策が進んでいないのが実情です。
低迷する会員権相場の回復には、会員の権利を保護するために会員契約の抜本的な見直しを行い信頼を取り戻すことが急務といえましょう。